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WILL AICHI NEWS1999
ウィルあいちニュースNO.22


建設中のJR名古屋駅セントラルタワーズで壁画制作に取り組む
名古屋出身の画家田村能里子さんを訪ねた。
田村さんは中国西安のホテルを始め国内外の施設の壁画を描く数少ない画家だ。
制作現場にはクラシック音楽が流れ、完成間近の壁画からは優しい光とそよ風が薫り、
ゆったりとした時が流れている。
 
 幼い頃は、絵を習っていた先生のその姿にあこがれ、中学では熱心な先生の指導を受けながら、
高校も美術科へと進む。自然に画家になるという意思が明確になったという。
その後、高校の恩師の反対を押しきって上京した田村さんは、美大へ進み卒業後、
画家としてスタートを切っていく。
 壁画を描くようになったきっかけは?
「インドを何回も訪ねるうちに、砂漠の町ジュンジュヌというところで、
町中を埋め尽くす壁画に出会ったことです。」インドでの様々な出会いから中国への留学、
さらに中国西安の60メートルに及ぶホテルの壁画の仕事へと、
出会いが次の出会いを呼び作品へと繋がってきたという。
「偶然の出会いで与えられたチャンスを生かして、必然なものにしてきた。」と語る田村さんは、
厳しい制作環境の中でも独りで作品を完成させてきた自信に溢れている。

 現在、どの団体にも所属されていませんが…「絵を描くこと自体が個性の仕事であり、
本来孤独であり実力の世界。
コミュニケーションを取りながらも、壁画・個展の開催など独りでやってきた。
女性・男性問わず、そういうやり方を受け止めてくれる社会になってきたと思う。」
若い人たちにはこういうやり方もあるということを見て欲しいという。
また、特に女性には「出産・子育てなど家庭の問題で絵を断念する人もいるが、
空白があってもやめないで欲しい。
点と点を結ぶ持続の精神で続けて欲しい。
その中で、また、出会いも生まれる。」と力強いメッセージをいただいた。
 次々と壁画制作に打ち込む田村さんだが、今一番の関心は?
「少し、ゆとりを持って仕事をしたい。でも、一度、飛行機に絵を描いてみたい。
西安への直行便が出ているのでその飛行機に描いてみたい。
西安のホテルと同じ絵の飛行機で中国に降り立つなんていいわね。」
と最後に素敵な夢を語っていただいた。



平成11年12月発行 ウィルあいちニュース No.22より)

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