旅の小箱 絵のつぶやき
回 『 風のきらめき 』

の小箱  from JR 東海
第6回 壁画 「 風のきらめき 」
 2001年 全日空ホテルクレメント高松壁画


 先日、NHK番組「課外授業 ようこそ先輩」に出演し、自分の卒業した名古屋の小学校の子供たちに、壁画制作を体験してもらう
機会をいただきました。
私の壁画はどんなに大きなものでも、はじめから終わりまでたったひとりで取り組むものなので、子供たちを数グループに分けて
壁画を共同制作させるのは無理かな、とも思いましたが、「とにかく体験させてみるのが一番」と踏み切りました。
 
 絵とかアートは、自分の思いを他の人に伝えようとする、人にしかできないコミュニケーションの基本であること、
壁画は特定の環境に置かれて、そこに集う人たちと「対話」をするものだ、と言うことを実感して欲しい。
座学では駄目なので、壁画の設置予定場所(病院・老人ホーム、郵便局)に子供たちを行かせ、現場の雰囲気やそこの方々と話をして、
自分たちだけで絵の構想を練り、デッサンをして、大きな壁面に身体を動かして描いてもらいました。
幸い結果は、どの作品も喜ばれ、予定の場所に置かれることになりました。
壁画に限らず、どんな仕事でも「現場を知る」ことと「頭や身体を動かして実践する」ことが大切なんだ、と子供たちが感じてくれたようでした。
新世紀は何か重く鬱陶しい空気の流れの中に幕をあけましたが、私はどんなに小さなものでも、軽やかで明るく、何となくほっとするもの、
それでいて人生の深みと喜びを感じさせるものを街の一角に付け加えたいと思っていました。

 波の光り輝く瀬戸内海に面したこのホテルには、海辺の祝祭をモチーフに、乙女たちの間をさわやかな旋律が風のように吹き抜けていく
イメージを描きました。
小難しいアートとして鑑賞していただくのではなく、結婚式の思い出でもいいし、待ち合わせのポイントでもいい、
「ああ、あれね」と街の人々や旅人に可愛がって頂ければ、それで十分満足なのです。



【 作品へのアプローチ 】
全日空ホテルクレメント高松 / 香川県高松市。
JR高松駅より徒歩1分(駅正面) もしくは、高松空港より車で約35分。



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