風河燦燦燦三自在展
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京都冬の旅キャンペーン
非公開文化財
仏画に見る美の世界
〈 ジパング倶楽部掲載 〉

最後に、嵐山まで足を運んでみましょう。
天龍寺のそばに建つ宝厳院の新本堂には、洋画家・田村能里子画伯の新作襖絵
「風河燦燦 三三自在」が飾られます。
襖サイズのキャンバス地の上にアクリル絵の具でくっきりと描かれた、雄大な風紋と山河。
燦々と輝く太陽と月。そして33人の生成りの衣に包まれた人物。
作品に込められた想いを、田村画伯にうかがいました。
「人物の顔や形は、特定の人のイメージを描いたものではありません。
女性や老人、こどもなどいろいろな人がいますが、これは観音様が変化したお姿と考えてもいいし、
身近な人の面影を探してもいい。
想像力を働かせて、自由に、解き放たれた心で見て欲しいのです」

 宗教的な枠組みから力強く踏み出したこの作品には、水墨画や日本画から連なる東洋の伝統的な
線描の技法と、西洋画の油絵の手法が見事に溶け合い昇華しています。
一見型破りな作品に見えながらも、『風河燦燦三三自在』は、シルクロードを通じて東西の文化を融合し続けた
仏教の長い歴史と在り方そのものに、時を超えて立ち返っているかのようです。

 歴史の厚いベールの奥から仏画が姿を垣間見せてくれるこの冬。
かつてないほど愛でたき年の門出を寿に、京都へ旅してみませんか。




宝厳院 
本堂で田村能里子伯による襖絵が初公開。
赤い山河と33人の生成りの衣の人物に、駱駝や象などをかたどった引手が趣を添えます。
豊かな緑に巨石が映える名庭「獅子吼(ししく)の庭」も必見。

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