田村能里子オフィシャルホームページ:過去の掲載記事婦人公論
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FOCUS 2001年
掲載記事より抜粋

縦2m横13mの大壁画の前で車椅子のお年寄りたちと談笑しているのは、洋画家の田村能里子さん。
先月から、東京都青梅市の老人病院で建設中の新館ロビーで、「春秋遊々」と題する
この壁画制作を続けてきた。
で、完成日にあたるこの日入院中のお年寄りを招いて壁画の披露を行ったのだ。
「とってもきれいで、気分があかるくなります。私も入院してから花の写生を自己流でやり始めて、
ここしばらくはお休みしていたんですけどまた描こうかしら」(80代女性)

田村さんが描き上げた壁画を見ながら、口々に自分の思いを語るお年寄りたち。
壁画のすぐそばまで車椅子を寄せて、作品スレスレに顔を近づけて眺めている人もいる。

「患者の皆さん、すごくうれしそうです。表情が生き生きしています。
先程も、普段はあまり話をなさらない患者さんが、
ご自分の家族の話をなさっていましたし」(付き添いの看護婦)

田村さんはこの壁画に、一つ工夫を凝らした。
それは画面の下の方に子供などを描き、見る側の目線を低くするということ。
「無理なく見てもらえるように、そして画面の中の子供たちを見て子供時代を思い出し、
患者さんたちがお互いに会話を弾ませて絵と語り合ってもらいたかったんです」
田村さんの狙いは大成功。お年寄りたちはこの日、田村さんが描いた子供、バッタ、
蝶などに興味を寄せ大いに話を弾ませていた。

今回の壁画は31作目、病院側が用意した宿舎に約1ヶ月間泊り込み連日、
朝7時から夜は9時半頃まで制作を続け完成させた。
「2キロ痩せたわ」と笑って話していました。





【青梅慶友病院】
東京都青梅市大門1丁目681番地
TEL:0428−24−3020 (代表)




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