◆田村画伯とファンケルとの出会い
−編集部(以下・編)1995年にファンケル旧本社ビル(横浜市栄区)、
2003年にファンケル銀座スクエア(東京都中央区)に壮大な壁画を描いていただいておりますね。
ファンケルの建物に壁画を制作したきっかけは何ですか?
池森名誉会長と出会い、ファンケルの事業精神に意気投合しました。
その時「健康と美」をシンボリックに表現した作品を制作してください、とのご依頼があり、
美神たちが憩う壁画を全力をかけて制作しました。
◆制作は生気が満ちる時
−(編)ファンケル銀座スクエア壁画「FUN-FUN」のネーミングの由来は何ですか?
FUN=楽しんでと理解し、銀座でウキウキするような楽しさに出会ったような気分を
題名で表現しました。
−(編)ファンケル銀座スクエアオープン準備中の中、決してよい環境とはいえない状況での
制作となったと思います。
約45日間ですか、近くのホテルに泊り込みで夜中の誰もいなくなった銀座のド真ん中で
仕事をするという面白い体験をしました。
やや「引き」(バックしてみる距離)が短かったので、全体を見ながら進めるのに
工夫を要しました。でも苦労ではなく、楽しかったです。
−(編)制作中の体力、精神力の維持はどのようにされているのでしょうか?
絵に集中し、描いていれば気分がよいので、あまりくよくよ考えたりしません。
普段足腰を鍛え、体力づくりをしていれば、現場では「気韻生動(きいんせいどう:生気が満ち
溢れていること)よいリズムで描くことができますよ。
◆無添加のすばらしさを
−(編)ファンケル旧本社ビル壁画「そよ風の粧い」のネーミングの由来は何ですか?
「美神たちが楽しげに粧い、憩っているイメージ」を通じて、ファンケルさんの無添加化粧品の
すばらしさをアピールするつもりで描きました。
−(編)三面に渡る大作で圧倒されますが、蝶が舞うなど細かい点まで描きこまれており、
とても華やかな気持ちになりましたが。
3面鏡のような変形なので、構成に工夫を要しました。
制作期間は3ヶ月くらいだったかな。
冬場で防寒具をつけながらの作業でしたが、苦労と思ったことはありません。
−(編)壁画「そよ風の粧い」完成時には、旅行会社主催の見学ツアーで120名の方が
来場されました。
田村画伯も参加されていらっしゃいましたが、壁画をご覧になった方とお話の中で、
印象深かったことはありますか?
壁画としては私の初期の作品で、今の絵肌(たとえば、ファンケル銀座スクエアの
「FUN-FUN」とは違うのに皆さん興味を持たれているようです。
また、ファンケルさんがこの旧本社と壁画を大切に使っていることに皆さん感心されて、
よい印象を持たれたようです。
◆我が子を見るように
−(編)田村画伯の絵は力強さのなかにやさしさ、しなやかさを感じる作品だと思います。
その絵をお書きになる為に、日々どのようなことに意識を向けて情報収集をされているのでしょうか?
もちろん、絵を描きたくて描いているのですが、絵と出会うかたがたと「よい時間を」共有したい、
お役に立ちたいと思い、描いています。
それには、自分自身が限りある時間の中で人生を精一杯楽しく、
味わいつつ生きることが大切なんだと思います。
−(編)ファンケルへ二つの壁画を制作いただきましたが、あれから数年たった今、
振り返ってみるとどう思われますか?
いやー、いつ行っても出会うときはなんだかウキウキしますね。
皆さんに可愛がってもらってね。
元気にやってちょうだいね。って声をかけるんです。
◆ほっとくつろいで
-(編)旧本社ビル及びファンケル銀座スクエアには壁画以外にもたむら画伯の作品を
展示させていただいております。
ご自身の中で来場者の方に特に観てほしい作品などはございますか?
ファンケル銀座スクエア2Fには、私の作品から取った絵皿も揃っています。
華やかで楽しいものを集めていただきましたので、銀座の息抜きスポットとして楽しんでいただけたら。
−(編)最後になりますが、作品作りの思いを語ってください。
私は自分の仕事を通して見ていただく方々との出会いがあり、その出会いが良い時間、
安らぎ時間であったら本当に嬉しいのです。
これからも体の動かせるうちはそんな仕事を続けていきたいですね。