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チャイム銀座 
2009年10月号掲載


月刊 チャイム銀座より ホールでのひととき 〜たおやかに たくましく 凛として 〜

田村能里子展 - 美神たちのざわめき -

会期:10月15日(木)〜11月7日(土) 最終日は17:00まで
本館6階 和光ホール

 ざわめく美神たちは饒舌である。
もの思わしげに口を閉ざしていても、一点を見つめる瞳がなにかを語り出す。
しなやかな指先がかすかにリズムをとる。
田村能里子さんの描く女性たちは遥かな東方の風を吹き込む。

 今回、田村さんの壁画「美神たちのざわめき」が和光ホールに展示される。
油彩・素描も併せ、アジアの風土に根強く生きる、たおやかで、たくましく、凛とした女性たちをモチーフに
描かれた作品が一堂に会する。

 その絵画を構成するものは、流砂に削られた古代陶器の肌のようなマチエール(絵肌)、ざらざらした絵肌に、
温かく人物を描き出す描線、そして田村レッドと賞賛される色彩。
油彩の世界庭の描線が生きる独自の世界である。

 二十代の頃、田村さんはインドの砂漠地帯で出合った、壁画が描かれた家々が立ち並ぶ村に心を揺さぶられる。
「砂漠の熱い風に吹かれながら、これがそうなのか、となにかを見つけた気がしました」。
独自のマチエールも、今回が五二作目となる壁画もそこから始まった。
一九八七〜八八年に西安・唐華賓館に壁画第一作「二都花宴図」を描き、昨年は女性洋画家として初めて、
禅寺である天龍寺の塔頭宝厳院本堂再建襖絵「風河燦燦三三自在」を完成させた。

 画家の仕事は集う場を提供すること、と語り、「壁画との対話を楽しんでいただけたら素晴らしい」
と微笑む田村さん。
和光ホールに降り立った美神たちを前にしばし立ち止まり、思いのままに語り合ってみてはいかがだろう。

◆会期中、会場にて田村能里子さんによるギャラリートークを予定しております。
 10月21日(水)・28日(水)各日ともに14時〜(終了いたしました)


月刊チャイム銀座10月号


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