ではロビー正面左のエレベーターホールにお進みください。
ホールの両側にはコンテによるデッサンの女性像が2点あります。
余談になりますが、作者の45年間の制作活動のうち、もっとも時間をかけ、
修練を重ねてきたものがデッサンです。
20代のインドでの長期滞在をはじめ、世界各地でデッサンを積み重ねてきました。
おそらく千の桁を超える数になっていると思います。
デッサンとは作者にとって基本的には、常に「自分を省みる」自身の教材という位置づけがあります。
その意味では作者のアトリエから門外不出のものであるべき、という考え方もありますが、
作者はある時期からデッサンも制作活動の一部として展示した方が、本人のアートをより理解し、
楽しんでいただけると確信してきました。
そんなことからこのホテルにあるデッサンはすべて、無数の習作の中から自分で厳選して展示しています。
≪11・12≫女性像習作(コンテ画)
この2点の習作はタッチといい、ポーズといいこのホテルの導入部に相応しいバランスと気品、
美しさが表現できたと作者自身が自負している作品です。
デッサンにも絵肌(マチエール)が大切と考え、コルク紙を海外から取り寄せ、
コンテを走らせてみました。
作者のモチーフはどの作品にも共通していますが「軽い高揚感と愁いを湛えた女性像」です。