ワーキングビューティーのための新ファッション誌
marisol
(マリソル)8月号
集英社発行
掲載ページ:217〜221ページまで
TVアナウンサー安藤優子さんの連載対談「私の人生の師匠たち」
第4回
田村能里子さん
「美神に愛された女流画家のしなやかな生き方に感服です!
」
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プレビュー
内容を少しだけ掲載します
「たった一人足場に上って黙々と描いています」(田村)
都内某所にある田村能里子さんのアトリエ兼お住まいで今回の対談は始まりました。
広々としたリビングルームのそこここに、シルクロードやインドの工芸品が飾られています。
足を切ったピアノがローテーブルとして使われていたり、古い旅行鞄の中にテレビが隠されていたりセンス良く気取らず、
ウイットに富んだインテリアは田村さんのお人柄そのまま表しているよう。伸びやかで居心地のいい空間です。
安藤
私は田村さんのかねてからのファンで、田村さんのお描きになった壁画をいろいろなところで楽しんできたんです。
蓼科ブライトンホテルには年に何回か必ず行きますので、
ロビーの階段を下りていくとそこに、田村ワールドが広がっているわけですよ。
青梅にある慶友病院の壁画もほんとうにすばらしい。だから壁画って、すごいですよね。
私みたいに田村さんの絵が好きでも自分のものに出来ない人間でも、田村さんの作品に触れることは出来るんですから
。
田村
やはり多くの見ていただけるのが、壁画を描いている者の一番の喜びですね。
誰にでも見ていただける、大人も子供もお年寄りにも。ただ、普通の絵と違うのは、最初から目的があることなんです。
病院なら病院、学校なら学校、ホテルならホテルと絵の内容も色も形もモチーフも、
さすがにわがままな絵描きでも好き勝手に描くと言うわけにはいかないんですね。
病院だったら、体力の落ちているかたがご覧になるわけですから、それでも、気持ちのいい時間が過ごせて、
もう少しがんばろうかと思っていただけるように。ホテルなら、宿泊するゲストの旅の疲れを癒すとか。
加えて品位の高いアートであることとか。とても欲張って描いています。
「田村さんの描く女性が大好きです・・・」安藤
安藤
描く時はやはり、足場を組んでお描きになるんですか?
田村
そうです。足場の上で、すさまじい格好で勢い良く描くんです。
左官屋さんかペンキ屋さんみたいに、ね。はりきちゃうわけです、もしかしたら年齢以上に。
安藤
アドレナリンが出ているわけですね。
田村
そう、たぶんそうなんです。
安藤
いきなり、描くんですか?それとも下絵を描いて・・・。
田村
いえ、下絵は描きません。私の小さな脳細胞でテーブルの上の図面を見ながら考えたものは、
どうしても小さくまとまってしまいますから。
私は現場主義というか、できるだけ現場で勝負、と言うと大げさですけど。
どんな風が吹いていてどんな人が通るのか、知らないとかけませんもの。
『飛鳥』と言う世界一周する大型客船の中に描いた時も、やはり建造中の船の中に入ってゴンドラにぶら下がって描きました。
安藤
現場の何かを感じ取った時の勢いで、描くわけですね。
田村
ええ、銀座のファンケルスクエアの時には、銀座の街をぐるぐるぐるぐる、あちゃこちゃ回って、
あたりの空気をいっぱい吸ったのね。で、本当は事前にちょっと頭の中で考えて、グリーンをベースにしようとか、
緑色の絵の具をいっぱい用意してあったんです。だけどあの場所に立ったら、
ああ、ここならブルーがキレイだと思ったの。
安藤
突然、ひらめいた。
田村
ええ、その直感は結果的に正しかったですね。でも関係者の皆さんは心配するみたいよ。
あらかじめ「どんな絵になるのでしょう?」って。
「絵によって下に敷くカーペットの色を決めなければいけないので教えてください」
なんていわれるんですけど、なかなかお答えできないの。でもいじめになっちゃいけないし(笑)
安藤
大きいですからね!その場の雰囲気を左右しますもの。
田村
また大きい物でないと私、お引き受けしないんです(笑)。
壁画というのは、人を飲み込むように大きい物じゃないとダメ。
環境を揺るがすような大きさのものでないと、壁画とはいいません、って常日ごろ言い張っているの。勝手に。
もちろん大事な空間を変えてしまうものですから、いいもの、ベストな物を作ろうという
気持ちは強いですよ。建物のあるかぎり残るんだということは、すごく考えます。
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